「クエン酸でお掃除ができる」という事はもう定番ですね。
しかし、実際には
ナチュラル洗剤のクエン酸で本当に汚れが落ちるの?
と半信半疑で不安に感じている方。
クエン酸では、水垢はやっぱり落ちなかったよ。
という方。
さまざまな方がいると思います。
今回は、現役ハウスクリーナーの私が、クエン酸お掃除の効果を実験してみました。
お掃除で使用する、「クエン酸」とは?
クエン酸とは、食べ物に含まれている酸味の下で、柑橘類に含まれる酸性の有機化合物です。
数年前からブームになっている、ナチュラル洗剤で使用される代表的な洗剤の一つです。
なぜクエン酸で汚れが落ちるの?
クエン酸は酸性の液性をしています。そのため、アルカリ性の物質と混ぜ合わせることで中性になります。
【酸性であるクエン酸は、アルカリ性である水垢汚れを中和して落とすのに効果的】
となります。
※水道水に含まれるミネラル分が固まった汚れがアルカリ性の汚れです。
ということは、クエン酸で酸性汚れである油汚れはまったく落ちません!
お掃除「クエン酸水」の作り方
スプレイヤーにはいった液体のクエン酸の場合は、そのままスプレーすればいいですね。
粉末の場合は、コップ一杯の水に対して、小さじ一杯のクエン酸粉末を溶かしてください。(強力にしようと、多めのクエン酸を溶かす方がいますが、水に溶けずに残るだけです。多めに溶かそうとしても効果はパワーアップしません)
その後は、スプレイヤーに入れてもいいし、刷毛などで塗り込むことを想定して、タッパーに入れても使用してもいいですね。
私はスプレイヤーはあまり使用しないタイプです。ですので、クエン酸に限らず100均のタッパーに洗剤を作り、刷毛を浸し、汚れに塗り込んでいきます。
実際にクエン酸を使用すると分かると思いますが、塗ったり拭きかけたりしてもはじいてしまう場合があります。
これでは、洗剤としての効果はかなり薄くなります。ですので、少量の中性洗剤(食器洗い用洗剤)を添加してまぜて使用すると弾かなくなります。覚えておいてください。
※これは、他のナチュラル洗剤である重曹水やセスキ炭酸ソーダ水でも同じです。これらもはじく場合がありますので、中性洗剤を混ぜてあげるといいでしょう。
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お掃除「クエン酸水」を効果的に使用するための2つのポイント
早々に書いてしまいますが、皆さんのイメージ通り、クエン酸の汚れ落としパワーというのは、けっして強いモノではありません。我々業者が使用している酸性洗剤と比べると弱いです。
だからと言って、汚れが落ちないわけではありません。効果的に使用することによって、本来のパワーを引き出します。
クエン酸に限らず、洗剤は乾いてしまうとまったく効果がなくなります。
ですので、
2、すぐに擦らずに、しばらく待つ
という2つのポイントが大切です。
クエン酸が活躍してくれるお掃除箇所
キッチンエリア編
クエン酸お掃除は油汚れや食品カス汚れ向きではありません。
ガスコンロやレンジフード周りに使用するのは完全に間違いです。
キッチンでは、シンクと蛇口付近のカリカリした白~茶色っぽい汚れ落としに効果的です。
大まかなおそうじ方法としては、まずはシンク内の油汚れ、食品カス汚れを、重曹、セスキ炭酸ソーダなどで落とします。
その後に残った汚れが、カリカリしたアルカリ性の汚れです。これらの汚れにクエン酸が効果的です。
浴室エリア編
浴室では、クエン酸お掃除が活躍してくれる場所だらけです。浴室全体と言ってもいいです。
大まかなおそうじ方法としては、まずは、ぬめり汚れや洗剤を使用しなくても落ちる汚れを先に落とします。お湯シャワーをかけ汚れを緩め、ブラシやスポンジで擦っていきます。
そして残った汚れがクエン酸の出番となります。
蛇口周り、バスタブの縁、壁面と、浴室全体に効果的です。
浴室全体を湿布法で対応するのは現実的ではありません。
乾かないようにするためには、窓やドアを閉め、換気扇を止めます。
これだけで、クエン酸水が乾きにくくなります。
小範囲の場合は、湿布法でいいです。
【クエン酸で、浴室の鏡の鱗汚れは落とせるのか?】
これは、多くの方が答えを知りたいと思っているテーマだと思います。
結論から言いますと、クエン酸で浴室鏡のウロコ汚れは落ちません。
鏡の鱗汚れはアルカリ性のため、酸性のクエン酸をぶつけることで落ちる…これは理論的には正解です。ですが、実際には落ちません。
トイレエリア編
トイレの水垢汚れ、尿石汚れにはクエン酸は効果抜群です。
便器内、手洗いタンク上部、便座の裏の黄色い汚れ、ウォシュレゥトの黄色~黒色をしたカリカリ汚れ。これらに対し、クエン酸は効果的です。
気になる部分にクエン酸を塗布し、トイレットペーパーで湿布しましょう。
またここがポイントなのですが、尿石などから発生するアンモニア臭もクエン酸が分解してくれます。
洗面ボール編
洗面ボールの汚れにも効果的です。洗面ボールの汚れは、石鹸カス、カビ、水垢汚れです。
石鹸かすなどは、頑張ればお湯だけでも落ちる場合がありますね。
ですが、水垢汚れはお湯だけではまったく無反応です。そこで、クエン酸などの酸性の液体の出番です。
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クエン酸を使ったその他のお掃除検証(私が過去に行った事例)
ナチュラル洗剤が流行ってから、私なりにクエン酸の効果を検証してきました。
今回は、洗面ボールの検証で細かく報告しましたが、他にはトイレの黄色い尿石汚れ、浴室の鏡汚れがクエン酸で落ちるかどうか検証したことがあります。
洗面ボールの排水溝回りのカリカリ汚れ
↑これは、別の洗面ボールの排水溝です。穴の周りに、茶色っぽい汚れがあります。これをクエン酸で湿布して、その後に擦ってみました。
結果、まったくダメでした。カリカリ汚れの中でも、硬い汚れ、柔らかい汚れがあるようです。見た目では判断できません。
この場合は、どうしたかというと、クエン酸とは別の酸性洗剤を使用しました。そして、その後に硬めのスポンジで擦りました。
トイレの黄色い尿石汚れに関して
トイレの尿石おとしは、クエン酸でそれなりの効果がありました。
今回の洗面ボールと同じように、タッパーにクエン酸水を作り、トイレのウォシュレゥトや便器に付着した黄色い尿石汚れに塗布します。
そして、洗剤分が乾かないように湿布し3時間ほどまちました。
そうすると、こする前から尿石汚れが溶けて黄色い液体に代わっているのがわかるほどでした。
トイレの尿石には、クエン酸は効果があります。
クエン酸お掃除で、落ちない場合について。
ご自宅の水道水が硬水の場合は、「落ちない」または「非常に落ちにくい」といえます。
例えば、こんな水垢。
もともとの素材が黒い、という点もあって、白い水垢がより白く目立っています。しかし、それにしても水垢びっしりですね。
こんな汚れ方をする場合は、水道水が硬質です。こうなると、クエン酸ではとても落ち切れません。
水道水が硬質とは?
ママ友の家ではクエン酸で汚れが落ちるのに、私の家では落ちない!
といったこともあります。じつはこれ、かなり大切なポイントです。難しい話になりますが、理解しておくとハナタカになれます。
軟水、硬水、という言葉を聞いた事がありますよね?
・軟水とは、ミネラルの少ない水
・硬水とは、ミネラルの多い水
です。
ミネラルとはカルシウム、マグネシウムの事で、いわゆる水垢です。
・ミネラルが多い硬水のお宅は、クエン酸の効果が薄いです。
・ミネラルが少ない軟水のお宅は、クエン酸の効果を実感しやすいです。
そもそも極端に言えば、後者の軟水の場合は、クエン酸で落とす水垢汚れが発生しないという事も言えます。
なぜ、地域によって軟水、硬水と水質が異なるのか?
それは、その地方の水道水の元となる源水が影響します。
各ご家庭の蛇口からでる水道水ですが、もともとの水はどこからくるのでしょう?
答えは、近くの河川か、地下水か、です。
地下水はミネラルが豊富です。これが、水道水の元になっている地域は、ご家庭の蛇口から出るみずも、硬水となります。
反対に、河川の水が水道水の元となっている地域は、軟水となります。
この章の水道水の性質については、水回り設備のお掃除に関して大切なポイントとなりますので、下記ページでさらに詳しく書いています。
クエン酸水とプロの酸性洗剤の違い
我々は、クエン酸の他にも、多様な酸性洗剤を持ち歩いています。
例えば、塩酸ベースの洗剤、リン酸ベースの洗剤、これらもクエン酸と同じく酸性の性質をしている洗剤です。
クエン酸との効果の違いは、即効性があるかどうかです。
クエン酸には即効性はありません。
ですが、我々プロが使用する塩酸などは塗っている最中から、ターゲットとする汚れが溶け出すのがわかります。
クエン酸では溶けるのに1時間かかる汚れも、プロの洗剤だと5分で溶ける、こういった違いはあります。
しかしその強力さゆえに、素材を痛めます。
もし、フローリングの床にこぼしたら、フローリングが腐ります。ですので取扱には十分注意しなければなりません。
薬品によっては、我々業者でしか買えなく、しかもハンコが入ります。
素人が強力な洗剤を使用すると、かえっておかしなことになりますので、あまりお勧めできません。
中には、「皮膚に着くと一気に骨まで浸透し骨を溶かす」と恐れられているフッ化水素という酸性薬品もあります。
クエン酸にはそのような危険性はありません。
※酸性ではありますので、こぼしてしまったらできるだけ早く拭きとって下さい。
クエン酸お掃除では、水垢は落ちないと思っている人へ。
たしかに、他の酸性洗剤と比べると効果は弱いです。これは、断言できます。
ただし、効果的に使用することによって、汚れ落としのパワーをアップさせることはできそうです。
効果的な使用とは、クエン酸を塗布して乾かないように湿布し、時間をかけるということです。
おそうじでは、どうしても洗剤を塗ったらすぐに擦りたくなります。これは、プロの我々でも同じです。
そうすると、どうしても洗剤の効果が弱くなります。ですので、できるだけ長く洗剤を効かせておきましょう。
一般の方なら、「一晩、湿布をしておく」という事もできますから。
まとめ
クエン酸お掃除は、ただたんに塗ってこするだけでは、そのパワーを引き出せません。落ちない洗剤という位置づけになってしまいます。
しかし、使用方法を工夫することで、効果的に汚れを落とす事ができます。
①クエン酸を塗る→②乾かないように湿布する→③数時間待つ→④その後に擦る。
これがクエン酸でも汚れを落とせる最強テクニックです。
即効性はまるでありません!
あせっても落ちません!